……戦後、日本では農地が解放され、財閥は解体、身分制は廃止されて、世界に例を見ないほど平等な社会を実現できたという。社会全体の底上げを図った結果、日本の労働賃金は世界一の高さになってしまった。いわゆる使用人とか、書生という人たちの存在はなくなり、いままでそうした人々を雇用していた中産階級の人たちは、日頃の勤めのほかに、以前は彼らがやってくれていた仕事まで自分でしなければならなくなった。家電製品がずいぶんと売れるわけである。
その結果、「豊かな社会になった」といわれているが、実際には、中産階級の没落、そして、家事などに従事したことのなかった「奥様・お嬢様」と呼ばれる階層の崩壊を招き、すべての女性は、自ら掃除、洗濯、炊事などをしなければならなくなって、いわば総「長屋のカミサン」化してしまった。
だとすれば、やはり、外で仕事を持つ「奥様」が家に帰って家事をこなすというのは、夫の倍の働きをしていることになり、不自然である。
共稼ぎの家庭では第三者を雇って相応の賃金を支払い、家事一切を任せ、夫婦は仕事にだけ邁進していればよいのだ。それと同じように、会社でもお茶汲み・コピー専門という部署を設け、男女を問わず、担当の人にやってもらったらよい……